PKを待ちながら

2014年公開のインド映画『PK』のネタバレです。『きっと、うまくいく』のランチョーを演じ、『チェイス!』のサーヒルを演じた「国宝級」俳優、アーミル・カーンの主演作です。鑑賞済みの方、ネタバレOKの方はどうぞ。未見の方は10月29日全国公開をお待ちください!

youtube

Aasman Pe Hai Khuda

過去記事を再編してお届けします。

『PK』終盤、列車爆破のシーン。PKのラジオから流れる音楽は、これもまたラージ・カプール主演の映画Phir Subah Hogi(1958年)から、Aasman Pe Hai Khuda(アースマン・ペ・ハェ・クダー、神は天上におわす)。

 

このシーンで流れる部分の歌詞は、「神は天上に、我らは地に。もはや神は語らない。たとえ殺りくや爆破が起きても」という内容です。60年前の映画の楽曲の詩が、今日もリアルに響きます。
 

Love is a Waste of Time

過去記事を再編してお届けします。

Automatic Battery Recharge(元気チャージ体操)に続くこの楽曲では、PKがジャッグーにほんのりと恋をしていく様子が描かれています。「Love is a waste of time」というフレーズの前フリとして、実はジャッグーが「恋愛とはどんな感情か」をPKに説明するシーンがあったのですが、 残念ながらカットされていて、コレクターズ・エディションDVD(インド版)の特典映像として収録されています。「I love you... I miss you... I love you... I miss you... 恋人同士はそんなふうに話をするのよ」「そんなの時間のムダづかいじゃないか!」という会話が二人の間で交わされています。
『PK』の終盤、ジャッグーの朗読会の最後の台詞は「I miss him」で締めくくられます。ジャッグーの「I love you」はサルファラーズのものだけれど、「I miss you」はPKに捧げられたのでした。

ところでこの楽曲、ちょっとした秘話があります。こちらの47分にわたるヒラーニー監督のインタビューは2014年11月、『PK』公開前のものですが、15:10あたりから監督自身が語っています。


「Love is a waste of time」というフレーズ、アイディア自体は打ち合わせを重ねるなかで出てきたものですが、楽曲として仕上げるにあたって、作詞家Amitabh Battachariyaに依頼しようと考えたそうです。Dhoom3、2States、Chennai Express、Go Goa Gone(!)などのそうそうたる作品に作詞家として名を連ねている著名な作詞家兼プレイバックシンガーです。さっそく携帯を取り出して「作詞家Amitabh」に電話をかけ、話し始めた監督。楽曲のおおまかなアイディアや打ち合わせの日程を決めたところで、監督、気づいた。「電話の相手、Amitabh Battachariyaやない・・・! Amitabh Varmaや・・・!」しかし、そこまで話をしてしまったので今さら言い出せず、Amitabh Battachariyaも忙しい人なので、ひとまずVarmaに作詞をして持ってきてもらいました。すると、それがたいへん良い仕上がりだったため、そのままVarmaの作詞が採用されることになったということです。そしてなんと、この「間違い電話」の事実はこのインタビューで語るまで、誰にも明かしていなかったんだとか。「間違い電話」が素敵な奇跡を起こしたようです。

なお、このインタビュー、一般人から監督への質問を事前に募集していたのですが、30:50あたりで最初の質問として、「日本に『PK』がやって来る可能性は?」という質問が採用されています(ちなみにこの質問をリクエストしたのは私でございます・・・!)。監督の回答は、「ちょうど2日前に日本の配給会社の人と会って話したから、時期はわからないけど、日本でも公開されるはずだよー」ということでした。なんと、2年越しでの日本公開実現です!

そんなわけで、Love is a Waste of Timeのミュージックビデオ。


歌詞の内容は、「胸のあたりが おかしな感じ。やっとわかった、恋は時間のムダづかい。それでも一生に 一度くらいは時間のムダづかいをしてみようかな」というものです。物語の後半においては、とても重要なフレーズともなります。


Bhagwan Hai Kahan Re Tu 歌詞編

過去記事を再編してお届けします。

Bhagwan Hai Kahan Re Tu(バグワーン・ハェー・カハーン・レー・トゥー、おお神よ、あなたはどこにいる)。「巡礼編」が長くなってしまいました。こちらは「歌詞編」。


 
この曲は、7拍子です。takita takadimi。7拍子ってインドっぽいですね。
歌詞は、「神よ、あなたはどこに いるのか。あなたを探して疲れ果ててしまった」と言う内容です。実はこの歌詞の中では、「礼拝・祈り・儀式」を表す言葉として、ヒンドゥー教の「プージャー」、イスラーム教の「ナマーズ」、スィク教の「アルダース」という言葉が盛り込まれています。日本語に落とし込むのは非常に難しい部分なので字幕には反映されていないと思いますが、耳を澄ませて聴いてみてくださいね!
 

Tharki Chokro

過去記事を再編してお届けします。

サントラより「Tharki Chokro」(タルキ・チョークロー、変態野郎)。
言葉を理解しないPKがラージャスターンの楽団に身を寄せ、困った行動を繰り返すにもかかわらず、楽団に愛され受け入れられた様子が描かれます。
歌詞はラージャスターン周辺の言葉です。「変態野郎」と言ってしまうと身も蓋もないのですが、男女の見境なく手を握りたくて飛びかかる変態、でも可愛らしくて憎めないお客さん…いったいどこからやって来た?」といった内容です。

 


Mujhko Yaaro Maaf Karnaa

過去記事を再編してお届けします。

PKがワインを両手に持ち、モスクへ向かうシーン。イスラム教では飲酒が禁忌のため、怒られてしまいます。ここでラジオからほのかに流れてくる音楽は、往年の名優ラージ・カプール(『バルフィ!』のランビール・カプールの祖父)主演の映画『Main Nashe Men Hoon』(1959年)の楽曲、Mujhko Yaaro Maaf Karnaa(ムジュコ・ヤーロー・マーフ・カルナー、私を許してくれ)。

作中では、ほんの少し流れるだけなのですが、この部分の歌詞は、「モスクの中で酒を飲ませてくれ。さもなくば神のいない場所を教えてくれ」という内容です。「神聖なモスクの中で酒を飲むのがいけないというが、この世にどこか神のいない場所などあるのか?」という皮肉が込められているのですが、モスクにワインを持ち込もうとしたPKの行動とシンクロして笑いを誘います。




記事検索
アーミル・カーン(『きっと、うまくいく』のランチョー、『チェイス!』のサーヒル)のファンです。 アーミル主演、2014年12月インド公開の映画『PK』は日本未公開ですが、ネタバレをブログに書いています。 アーミルとPKに興味のない方は、積極的にブロック、RTブロック、ミュートなどしてくださいね!
メッセージ