ついに明日、映画『PK』が日本公開となります。興行的にはこれからが本番、お客さんの入り具合が非常に気になるところですが、当ファンブログとしては、ここで一つの区切りを見ることになります。本来であれば、お世話になった皆様方に個別にご挨拶申し上げるべきところですが、恐縮ながらこの場を借りて、お礼を申し上げたいと思います。

2014年10月29日、東京国際映画祭の舞台挨拶にアーミルが来日したあの日から2年間、ずっとアーミルと『PK』のことばかりを考えてきました。いったいどれだけの時間と労力とお金をつぎ込んだことやら。狂ったように、熱に浮かされたように、マジュヌーンのように、発情期の牡象のようにオンラインやらオフラインやら国外やら国内やらビッグサイトやらを駆けずり回ってきましたが、ふと、1か月ほど前に、雷に打たれたように気づいたことがあります。

『PK』がきっかけで、なんと多くの人たちとの素晴らしき出会いがあったことか。

『PK』がなければ出会うことのなかったであろう方々と出会い、感動を共有し、ビールを酌み交わし、喜びを分かち合い、何物にも変え難い豊かな時を過ごすことができました。また、皆様の純粋なご好意により、とても貴重な情報や機会、お宝も分けていただきました。いま、私の心とお部屋の中は、金銀宝石に勝る輝きで満たされています。まるで人付き合いが苦手で引きこもりの私に、このような経験を与えてくださったこと、『PK』をきっかけにして出会った皆様には深く深く感謝しています。本当にありがとうございます。

そして、そもそもすべての始まりは『PK』であり、インドという国及び文化、インド映画、俳優アーミルとヒラーニー監督の豊かな感受性と才能、そして尽きることない挑戦の精神に対する尊敬の念はつきません。極東の片隅に暮らす一般人に、このような歓喜をもたらすことができるなんて、なんと驚嘆すべき力でしょうか。
『PK』とアーミルを追いかける中で、多くを学び、多くの感情を味わいました。今や、経典を求めて天竺へ渡った三蔵玄奘の気持ちが、生涯クリシュナを讃えて過ごしたミーラーバーイーの気持ちが、以前より近しく感じられます。周りのすべてが見えないほど熱狂のなかで、それまで知らなかったこと、うまく理解できなかったことが少し見えてきたような気がします。

それから、お仕事として『PK』に携わった皆様へ。エンタメ、広告宣伝のお仕事は時に過酷なものだとお察しします。しかし皆様の真摯なお仕事のおかげで、こうして生きる喜びと希望を得ている小市民が確かに存在しています。こんな一部のマニアにワクワクする日々を与えてくださったこと、とても感謝しています。

さて、今まできちんと書いていなかった『PK』の感想文をここで書いておきます。『PK』の何がそんなに胸を熱くするのか、うまく把握することも表現することもできず、ずっと2年間ポツポツとこのブログを綴ってきました。今の時点で感じているのは、この作品は「人がハッピーでない時にどう生きればいいのかについて、ささやかで確かな知恵を授けてくれる」ということです。私はどうやらハッピーエンドの物語があまり好みではないようで、どうも「なーんだ、結局ハッピーエンドか」という感情が頭をもたげてきます。「人生、ハッピーエンドじゃないことのほうが多いんだから、どうしたらいいのか教えてよ…」そんな問いに『PK』が少しだけヒントをくれます。『PK』の登場人物は皆、それぞれが困難に出会い、苦しみもがき、なんとか解決策・妥協作を見出して生きています。そんな人々と観客に対して、PKは優しく教えてくれます。楽しく踊って充電するんだよ、愛する人を信じるんだよ、まがい物には気をつけるんだよ、神は常に見守っているのだよ…。
ニッチな現代英語文学を異様な熱情で追い続ける都甲幸治氏がこんなことを書いていました。「複数の文化に根ざした小説を読むことで、僕たちの精神の地平は拡がるだろう」(英語で読む村上春樹2016年5月号 NHK出版)まさに私の精神の地平は、『PK』、そしてこれまで出会ったすべての皆様のおかげで拡がりを見ることができました。

どうか、『PK』のメッセージが、必要としている人のもとに届きますように。

…いや。

ぜひともPKのメッセージを受け取りに走ってください!! 今すぐ劇場へGO!! 上映館のチェックはこちらから!

近くに映画館がない? たまには国内旅行でもしてみませんか?! 正直言って、アーミル作品が日本公開されることは、もう二度とないと思うんですよね〜。行くなら今ですよ!