PKを待ちながら

2014年公開のインド映画『PK』のネタバレです。『きっと、うまくいく』のランチョーを演じ、『チェイス!』のサーヒルを演じた「国宝級」俳優、アーミル・カーンの主演作です。鑑賞済みの方、ネタバレOKの方はどうぞ。未見の方は10月29日全国公開をお待ちください!

2015年06月

PKがラジカセを脱いだら

「アイスバケツチャレンジ」をご記憶でしょうか。昨年2014年の夏、「ALS協会に寄付するか、氷水をかぶるか選べ!」とSNS上で次々と実践しては指名していくというチャリティー運動で大きな話題となりました。 ボリウッド的には『PK』の「裸ラジカセ」のモーションポスターが公開されて物議をかもし、リティック・ローシャンの映画『Bang Bang!』が公開された時期です。
リティックはこの「アイスバケツチャレンジ」に乗っかったのか、ツイッター上で「#bangbangdare」なるプロモーションを繰り広げていました。リティックが投げかけた「xxxをやってみろ! できるかな?」という挑戦に対して、ボリウッドスターたちが次々と応戦して動画をアップしていたのですが、元ミス・ワールドのプリヤンカーがハイヒールで逆立ち腕立て伏せをやったり、ランヴィール・スィンがムンバイの路上で「クリッシュ」コスプレで踊ったり、アルジュン・カプールが『Koi Mil Gaya』のリティックのコスプレで「片手で6」を数えたり、シャールクが筋トレを披露したり・・・。「そこまでやるのか」という豪華なスターのお遊びを楽しませてもらいました。
そして、アーミルに投げかけられた挑戦はこちら。
「あのラジカセをおろしてみろ!」というものでした。さっそくこの挑戦を引き受けたアーミル。実際に「ラジカセを脱いだ」動画はこちら。



リティックは「ずるいよずるいよ!」と悔しがっておりました・・・。

『PK』とカビール

『PK』のストーリーをつくり込むにあたって、監督や脚本家がいろいろと資料を参照し、議論を重ねたそうです。おそらくその中核となったと思われるカビールの詩をご紹介。この詩の一部をジャッグーが朗読するシーンは、「未公開シーン」として、特典DVDに収められています。

カビールは15世紀半ば~16世紀初頭の宗教家で、ヴァラナシのイスラーム教徒の機織り工に拾われて育った人物とされていますが、謎の部分も多いようです。その思想はスィック教の開祖グル・ナーナクに影響を与えといわれ、彼の語った言葉、ドーヘーと呼ばれる二行詩は今もインドの中高等学校で学ばれているそうです。500年前の詩が21世紀の現在もリアルに響きます。

いかんせん500年前の詩なので、辞書で調べてもわかんないよ!という単語もありますが、シンプルで示唆に富む詩です。

मोको कहाँ ढूंढ़े बन्दे मैं तो तेरे पास में॥
信者よ、どこに私を探すのだ 私はお前の中にいる

ना तीरथ में ना मूरत में, ना एकान्त निवास में।
ना मंदिर में ना मस्जिद में, ना काशी कैलाश में॥
聖地にも 偶像の中にも 荒野にも
寺院にも モスクにも ヴァラナシにもカイラシュ山にも(私はいない)

मोको कहाँ ढूंढ़े बन्दे मैं तो तेरे पास में॥
信者よ、どこに私を探すのだ 私はお前の中にいる

ना मैं जप मे ना मैं तप में, ना मैं व्रत उपवास में।
ना मैं क्रियाकर्म में रहता, ना ही योग सन्यास ॥
念唱にも 苦行にも 断食にも 私はいない
葬儀にも 遊行にも 私はいない 

मोको कहाँ ढूंढ़े बन्दे मैं तो तेरे पास में॥
信者よ、どこに私を探すのだ 私はお前の中にいる
 

नहिं प्राण में नहिं पिण्ड में, ना ब्रह्मांड आकाश में।
ना मैं भृकुटी भंवर गुफा में, सब श्वासन की श्वास में॥
息にも 宇宙にも 空にもいない
洞窟の奥にも 呼吸にもいない 

मोको कहाँ ढूंढ़े बन्दे मैं तो तेरे पास में॥
信者よ、どこに私を探すのだ 私はお前の中にいる

खोजि होय तो तुरंत मिलिहौं, पल भर की तलाश में।
कहैं कबीर सुनो भाई साधो, मैं तो हूं विश्वास में॥
探し求めれば ただちに出会うだろう その瞬間に
カビールは言う 聞け 修行者たちよ 私は信仰の中にいる 


मोको कहाँ ढूंढ़े बन्दे मैं तो तेरे पास में॥
 
信者よ、どこに私を探すのだ 私はお前の中にいる 


カビールの生涯を語る物語もいろいろとあり、映画もつくられているようです。

 

カラス

PKの母星では、洋服を着る習慣がないそうです。気候が温暖なのか、ああ見えてすっごい皮膚が頑丈なのか、環境調整の技術が発達しているのか…。その辺りは謎ですが、「カラスが服を着てたら、そっちのほうが奇妙じゃないか」は、『PK』の名台詞の一つです。



ところで、「カラス」でGoogle画像検索すると、こんな画像がヒットします。

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いっぽう、「कौआ」(カウアー、ヒンディー語でカラス)で画像検索すると、こんな感じ。

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インドのカラスは、やや小ぶりで、首まわりがグレーです。ちょっとかわいいといえなくもない…かな…。

若さを演じるということ

アーミルは1965年3月14日生まれ、ただいま50歳。ここ数年の出演映画で演じた役柄は、学生だったりマッチョだったり、ボディと演技の極度なつくり込みに驚かされるものばかりです。そこで、近年アーミルが演じてきた役柄について考えてみます。

2005年、40歳以降に公開された出演作と役柄は以下の通り。(公開年なので、撮影時にはもう少し若いことになります)

2005年 40歳 Mangal Pandey フリーダム・ファイター
2006年 41歳 Rang De Basanti 学生、フリーダム・ファイター
2006年 41歳 Fanaa テロリスト
2007年 42歳 Taare Zameen Par 先生
2008年 43歳 Ghajini セレブ、復讐鬼
2009年 44歳 3 Idiots 学生、科学者
2010年 45歳 Dhobi Ghat 画家
2012年 47歳 Talaash 警察官
2013年 48歳 Dhoom:3 サーカス団長、天才金庫破り
2014年 49歳 PK 宇宙人
2016年 51歳 Dangal レスラー(予定)

こうして見ると、LOVE、コメディ、アクション、社会問題を盛り込みつつ、「好奇心を持ち、可能性を信じ、信念を貫き、何かに挑む」役柄が多いように思います。…あ。たった今、『きっと、うまくいく』という邦題が好きになりました。このフレーズ、「挑む人」の精神をうまく表現していますね。「、」が入ることで、本当にうまくいくのかわからない不安な気持ちと、それでも自分の可能性を必死で信じる意志のせめぎ合いが醸し出されています。
もちろん、映画はアートであり、娯楽であり、ビジネスであり、多くの人々が関わるものですから、アーミルの意向が全てではないはずですが、「挑む人」の役を好んで受けている印象を受けます。「挑む人」の物語を組み立てると、結果的にどうしても学生だったり、年齢不詳な若々しい人物だったり、ということになるのかもしれません。

3 Idiotsで学生を演じることになったときのエピソードは、しばしば語られています。さすがに40代で大学生、しかも新入生を演じるのはキビシイ。自分の親戚の男の子の動作や表情を観察して、演技の参考にしたそうです。観察するうちに気づいた若者の特徴の一つは、「ムダな動きが多い=落ち着きがない」ということ。この話を聞いて、改めて3Idiotsを観てみると、確かにランチョーは、ときどき意味不明な動作をしています。そしてそれがやんちゃな男子っぽくてなんともキュート。
私がいちばん好きな仕草は、上映時間1時間10分あたり、コンノートプレイスでのピアと婚約者の腕時計のエピソードの最後の部分。「ラージューのパパが倒れた」という連絡が携帯電話に入り、ランチョーは右手に携帯電話を持ち、通話をしながら左手でショルダーバッグのストラップをしゅしゅっと上下にさすります。…この仕草、なーんにも、意味がありません。ただ、かわいいだけ。また、若々しさの秘訣として、毎日お水を3リットルだか5リットルだか飲んでいたらしいのですが…。本当か。『きっと、うまくいく』は、近日、マサラ上映がありますので、皆さん、久しぶりに行っときましょう〜。ストラップのシーンで一緒に「しゅしゅっ」とやるのだ!(地味マサラ。)シネマート六本木、6月13日(土)です。
http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/index.html

そして最新作PKを演じるにあたっては、末っ子のアーザードちゃん(2歳くらい)を参考にしたそうです。生まれて初めて目にするものや口にするものに対する反応が、地球で初めて接する物ごとにおっかなびっくり反応するPKの姿に移送されました。目をかっ開いて、身体を硬直させ、それでも好奇心ゆえ、離れられない…。パーンやにんじんなど、気に入ったものを延々と食べるところもかわいい。ああ、PKに「にんじん、もいっこちょうだい」と言われたい。aur ek gajar de doだね! 
そんなPKも、母星に帰ればエリート宇宙飛行士のはずなんだけどね…!
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アーミル・カーン(『きっと、うまくいく』のランチョー、『チェイス!』のサーヒル)のファンです。 アーミル主演、2014年12月インド公開の映画『PK』は日本未公開ですが、ネタバレをブログに書いています。 アーミルとPKに興味のない方は、積極的にブロック、RTブロック、ミュートなどしてくださいね!
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